製造現場において、洗浄は品質を左右する重要な工程のひとつです。洗浄剤の選定や使用方法によって、仕上がりの精度や生産効率が大きく変わるだけでなく、環境への影響や法規制の遵守も求められています。特に近年では、持続可能なものづくりの観点から、洗浄剤の環境負荷や安全性への配慮が不可欠となっています。
このコラムでは、洗浄剤の種類や環境負荷の問題や関連する法規制についてご紹介します。
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洗浄剤の種類
洗浄剤は、使用環境や除去する汚れの種類に応じてさまざまな種類が存在します。適切な洗浄剤を選定することで、洗浄効果を最大化し、品質や生産効率の向上につなげることができます。
代表的な洗浄剤の種類とそれぞれの特徴について紹介します。
〈洗浄剤の種類〉
水系洗浄剤
水を主成分とした洗浄剤で、アルカリ性・中性・酸性に分類されます。
加工油の脱脂洗浄や水溶性フラックスの除去、精密加工品や半導体部品の洗浄など、幅広い産業分野で活用されています。また、近年ではアルカリ電解水の導入も進んでいます。
| メリット |
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|---|---|
| デメリット |
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準水系洗浄剤
準水系洗浄剤は、水系洗浄剤と非水系洗浄剤の中間に位置し、水と有機溶剤を組み合わせた洗浄剤です。特に、電子部品のフラックス除去や精密部品の高度な洗浄に適しています。
成分としてグリコールエーテルやアルコールを含み、水溶性の汚れと油汚れの両方に対応できる点が特徴です。また、極性を持つため水と混ざりやすい一方で、非水系洗浄剤の特性も兼ね備えています。
ただし、金属表面にさびが発生するリスクがあるため、防錆対策を講じることが重要です。
| メリット |
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|---|---|
| デメリット |
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炭化水素系洗浄剤
炭化水素系洗浄剤には、ノルマルパラフィン系、イソパラフィン系、ナフテン系、芳香族系の4種類があり、特に油汚れの除去に優れています。金属への腐食リスクが低く、機械部品の洗浄に適していることが特長です。
また、浸透性が高く、細部まで効果的に洗浄できるため、複雑な形状の部品にも対応できます。さらに、蒸留再生による再利用が可能で、経済性にも優れています。
| メリット |
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|---|---|
| デメリット |
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有機溶剤系洗浄剤
有機溶剤系洗浄剤は、「フッ素系」「塩素系」「臭素系」の有機溶剤を主成分とする洗浄剤です。
特に精密機器や電子部品の洗浄に適しており、高い洗浄力を発揮します。
| メリット |
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|---|---|
| デメリット |
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アルコール系洗浄剤
アルコール系洗浄剤は、エタノールやIPA(イソプロピルアルコール)を主成分とした洗浄剤です。電子部品や光学機器の洗浄に適しています。
| メリット |
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|---|---|
| デメリット |
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洗浄剤の選定ポイント

洗浄剤を選定する際は、安全性・コスト・環境負荷・洗浄力のバランスを考慮することが重要です。
用途や使用環境に応じて、最適な洗浄剤を選ぶことが求められます。
〈洗浄剤の特長〉
| 水系洗浄剤 | 環境負荷が低く、安全性が高いが、防錆対策が必要 |
|---|---|
| 準水系洗浄剤 | 水溶性・油溶性の汚れに対応するが、乾燥が遅い |
| 炭化水素系洗浄剤 | 油分除去に優れるが、可燃性がある |
| 有機溶剤系洗浄剤 | 強力な洗浄力を持つが、環境規制が厳しい |
| アルコール系洗浄剤 | 精密洗浄に適しているが、引火性がある |
洗浄における環境負荷の問題

産業洗浄は、溶剤排出やVOC(揮発性有機化合物)の拡散など、環境負荷が大きい工程のひとつです。高度経済成長期以降、洗浄技術の高度化が進む一方で、環境への配慮も重要視されるようになりました。現在では、水系洗浄機の普及や乾式洗浄技術の開発など、安全性と環境負荷低減を両立する技術が求められています。
また、近年はSDGs(持続可能な開発目標)の観点からも産業洗浄のあり方が見直されています。SDGsは、2015年に国連で採択された国際目標で、環境保全や資源の有効活用などを含む17のゴールを掲げています。
産業洗浄においても、環境負荷の低減に加え、安全性や資源の循環利用を考慮した技術開発が求められています。
環境規制と産業洗浄
産業洗浄に関わる環境・安全規制は年々厳しくなり、企業の環境対策として重要視されています。
大気環境関連
産業洗浄では、トリクロロエチレンやテトラクロロエチレンなどの有機塩素系溶剤が規制対象となっています。
さらに、大気汚染防止の観点からVOC(揮発性有機化合物)の管理が強化されており、環境負荷の低い洗浄剤への切り替えが求められています。
〈主要な法規制〉
| オゾン層保護法 | オゾン層破壊物質の使用削減・廃止 |
|---|---|
| 地球温暖化対策推進法 | 温室効果ガス6種類の排出削減 |
| 大気汚染防止法 | 有害大気汚染物質の排出規制 |
水環境関連
水質保全のため、水質汚濁防止法や下水道法に基づき、産業排水の基準が厳しく設定されています。特に、重金属類や有機塩素化合物の排出は厳格に規制され、洗浄剤も基準を満たす必要があります。
近年では、排水処理技術の高度化や環境負荷の低い洗浄プロセスの導入が求められています。
〈主要な法規制〉
| 下水道法 | 排水の基準値遵守 |
|---|---|
| 水質汚濁防止法 | 環境基準値の維持 |
化学物質関連
化学物質は多くの産業で不可欠ですが、適切な管理が求められます。産業洗浄では、従来の規制に加え、1999年制定のPRTR法により、有害化学物質の排出量届出やMSDS(化学物質安全データシート)の交付が義務化されました。
企業には自主的な管理強化が求められ、安全性と環境負荷低減の両立が重要視されています。
〈主要な法規制〉
| 毒物及び劇物取締法 | 有害物質の適正管理 |
|---|---|
| 労働安全衛生法 | 化学物質の安全管理義務 |
| 消防法 | 危険物の規制・届出義務 |
| PRTR法 | 有害化学物質の排出量報告と、MSDS(化学物質安全データシート)の交付義務 |
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| 耐薬品性 | 下記をご参照ください |
〈PVAスポンジの耐薬品性〉
| 薬品名 | 濃度 | 判定 |
|---|---|---|
| 硫酸 | 5%> | ○ |
| 塩酸 | 3%> | ○ |
| 水酸化ナトリウム | 5%> | ○ |
| エタノール | 20 – 90% | × |
| イソプロパノール | 10 – 85% | × |
| 酢酸エチル | − | ○ |
| アセトン | 20 – 90% | × |
| メチルエチルケトン | − | ○ |
| トルエン | − | ○ |
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