スマートフォンや車載機器、AIサーバーの普及により、電子デバイスは高性能化と小型化が同時に進んでいます。 それに伴い、プリント基板、ガラス基板、リードフレームといった電子部品も、高密度化・薄型化が進み、製造工程における取り扱いは一層繊細になっています。
こうした背景の中で重要性を増しているのが、水分(液)の管理です。このコラムでは、電子部品製造において水分が引き起こすリスクと、その対策として多くの生産ラインで採用されている「吸水スポンジ」の役割を整理します。
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電子部品製造において水分が引き起こす問題とは

電子部品の製造工程では、洗浄、メッキ、エッチングなど、水や薬液を使用する工程が不可欠です。一方で、工程後にわずかでも水分や薬液が残留すると、品質不良や信頼性低下につながる不具合が発生しやすくなります。
そのため電子部品製造では、「いかに確実に水分を除去するか」が、工程設計における重要なポイントとなります。
〈水分によるトラブル例〉
ショートの発生
回路基板上に水分が残った状態で通電すると、意図しないショートが発生する場合があります。特に微細ピッチ化が進んだ基板では、わずかな水分残りでも絶縁距離が確保できず、ショートのリスクが高まりやすくなります。
パッケージの破損
基板やICパッケージが吸湿した状態で加熱(リフロー工程)すると、内部水分が急激に気化・膨張します。 その結果、パッケージの剥離や破裂が起こり、製品不良につながります。
乾燥シミの発生
ガラス基板やリードフレームの洗浄後、水滴が乾燥する過程で、水中のミネラル分や不純物が濃縮・固着します。
乾燥シミは、成膜不良や外観不良の原因となり、後工程での手戻りを招きます。
腐食(さび)の進行
金属部品表面に水分が残ることで酸化が進み、接触不良や強度低下が発生します。 特にリードフレームでは、後工程での不具合につながりやすい要因となります。
吸水スポンジの導入工程と活用事例

電子部品製造ラインでは、搬送コンベアの上下に吸水スポンジローラーを設置し、ワークを挟み込んで通過させる方式が広く採用されています。
連続搬送を止めることなく、水分を安定して除去できる点が特長です。
プリント基板製造工程
プリント基板の製造では、エッチング後、メッキ後、最終工程など、複数の水洗工程が存在します。 基板表面に加え、スルーホール内部に残りやすい水分も、吸水スポンジで挟み込むことで除去しやすくなります。
乾燥炉の負荷低減や乾燥シミ防止に加え、次工程でのメッキ不良抑制にもつながります。

ガラス基板製造工程
液晶パネルや有機EL向けのガラス基板では、わずかな水跡が表示不良につながります。
低発塵性に優れたPVAスポンジで洗浄後の表面を均一に吸水することで、ウォーターマークの発生を抑え、安定した品質を確保します。

リードフレーム製造工程
リードフレームでは、メッキやエッチング後の薬液残り、水洗後のさび発生が課題となります。
薬液工程では耐薬品性に優れたPOスポンジで液切りを行うことで、腐食リスクを低減します。

アイオンの製品ラインナップ
〈吸水スポンジの種類〉
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高い吸水性・保水性と低発塵性を備え、プリント基板やガラス基板の洗浄後吸水に採用されています。 |
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耐熱性と柔軟性を兼ね備え、乾燥炉直前や温水洗浄ラインに適しています。 ◎商品詳細はこちら|ソフラス |
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強酸・強アルカリに対応する耐薬品性を持ち、メッキ工程やエッチング工程で安定した液切り性能を発揮します。 |
〈材質比較〉
| 吸水性 | ◎ 非常に高い | ◎ 非常に高い | ○ 良好 |
|---|---|---|---|
| 乾燥時の状態 | 硬化する | 柔軟(ソフトさを維持) | 柔軟(ソフトさを維持) |
| 耐熱性 | 60℃ | 100℃ | 80℃ |
| 耐薬品性 | ○ アルカリ系 | ○ 酸・アルコール系 | ◎ 強酸・強アルカリ |
| 加工性 | ◎ 非常に良い | ○ 良い | ○ 良い |
電子部品製造における吸水の重要性まとめ
電子部品製造では、わずかな水分が品質不良や信頼性低下につながります。 そのため、乾燥工程に入る前の吸水工程が、製造品質を支える重要な役割を担っています。
アイオンでは、PVA・ポリウレタン・ポリオレフィンといった素材特性を活かした吸水スポンジを通じて、電子部品製造現場の水分管理をサポートしています。 吸水工程の見直しや、工程条件に適した吸水スポンジの選定については、ぜひ一度ご相談ください。











