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COLUMNコラム

【吸水の基礎】吸水スポンジの種類と選定

【吸水の基礎】吸水スポンジの種類と選定

産業装置の液切りや吸水工程では、「吸水スポンジ」の材質によって、得られる性能や使い勝手が変わります。同じ吸水スポンジでも、吸水性、耐熱性、耐薬品性、乾燥時の状態は材質ごとに違いがあります。
このコラムでは、産業用途で多く使われているPVA・ポリウレタン(PU)・ポリオレフィン(PO)の3つの材質を中心に、 吸水スポンジの構造、選定の考え方、装置への組み込み方をご紹介します。

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産業装置における「吸水」とは

吸水スポンジが安定して水分を吸水できる理由は、スポンジ内部の構造にあります。

① 気孔構造

気孔構造

産業用吸水スポンジは、内部の気孔が連続した「連続微細気孔構造」を持っています。
スポンジ内部に水の通り道が形成されているため、付着した水分を素早く取り込み、内部へ保持しやすい点が特長です。

② 毛細管現象による吸水

毛細管現象による吸水

微細な気孔が毛細管として機能し、水に触れた瞬間から水分を引き込みます。
強く押し付ける必要がないため、ガラス基板やプリント基板など、接触圧を抑えたい工程でも安定した吸水が行えます。

③ 吸水と排水を繰り返す連続動作

吸水と排水を繰り返す連続動作

吸水スポンジは、挟み込みや絞りによって内部の水分を排出すると、吸水性能が回復します。
吸水・保持・排水のサイクルを繰り返すことで、ラインを停止することなく、連続した吸水工程を構築できます。

吸水スポンジの材質比較と選定の考え方

吸水スポンジは、使用する液体の種類や温度条件、乾燥状態によって、適した材質が異なります。ここでは、PVA・ポリウレタン(PU)・ポリオレフィン(PO)の3つの材質について、基本的な特長を紹介します。

〈材質比較〉

PVA
PU(ポリウレタン)
PO(ポリオレフィン)
吸水性 ◎ 非常に高い ◎ 非常に高い ○ 良好
乾燥時の状態 硬化する 柔軟(ソフトさを維持) 柔軟(ソフトさを維持)
耐熱性 60℃ 100℃ 80℃
耐薬品性 ○ アルカリ系 ○ 酸・アルコール系 ◎ 強酸・強アルカリ
加工性 ◎ 非常に良い ○ 良い ○ 良い

※耐薬品性は、薬品の種類・濃度・温度条件によって異なります

PVAスポンジ

PVAスポンジ

PVAスポンジは、親水性と吸水スピードに優れた材質です。
吸水性・保水性が高く、洗浄後の仕上げ工程における吸水用途に多く採用されています。微細な気孔構造によるパーティクル捕捉性を活かし、清浄度を維持したい工程にも適しています。
一方で、乾燥すると硬化する特性があるため、使用前に水を含ませる運用が必要です。耐熱温度は約60℃となります。

◎商品詳細はこちら|シグナスローラーベルイーター

主な用途
ガラス基板、プリント基板の水洗浄後の吸水工程 など

ポリウレタン(PU)スポンジ

ポリウレタン(PU)スポンジ

PUスポンジは、乾燥状態でも柔軟性を保ちやすい点が特長です。水で100℃、乾熱で130℃まで対応できるため、乾燥炉直前の水切り工程にも使用しやすくなります。
ラインの停止や再稼働の多い装置でも、硬化や寸法変化が起こりにくく、安定した吸水性能を維持しやすい材質です。

◎商品詳細はこちら|ソフラス

主な用途
温水洗浄ライン、乾燥前の水切り工程 など

ポリオレフィン(PO)スポンジ

ポリオレフィン(PO)スポンジ

POスポンジは、耐薬品性を重視する工程で選定される材質です。
強酸・強アルカリ環境でも劣化しにくく、薬液を直接扱う工程で安定した液切り性能を発揮します。

◎商品詳細はこちら|ピオラス ローラーピオラス シート

主な用途
メッキ工程、エッチング工程など、薬液工程での吸水 など

吸水スポンジは、材質だけでなく「形状」も重要な要素です。装置構成やワーク形状、処理量に合わせて形状を選定することで、吸水性能のばらつきを抑え、安定した吸水工程を構築しやすくなります。

〈形状のバリエーション〉

ローラータイプ

ローラータイプは、連続処理を行う製造ラインで最も多く採用されている形状です。搬送と同時に吸水を行えるため、処理能力と安定性の両立が求められる工程で選ばれます。
装置への組み込みは、搬送コンベアの上下にローラーを配置し、ワークを挟み込む構成が一般的です。スポンジの弾性により、板厚のばらつきや反りにも追従しやすく、吸水量とワークへの負荷のバランスを取りやすい点が特長です。

ローラータイプ

〈用途例〉

  • プリント基板、フィルム、ガラス基板の洗浄後の吸水
  • レトルトパウチや包装材の表面水切り
  • メッキ、エッチング後の液切り工程

シートタイプ

シートタイプは、薄さと柔軟性を活かし、ローラーの設置が難しい箇所や、広い範囲をカバーしたい工程で使用されます。狭い装置内でも使い方がしやすい点が特長です。
装置内や搬送トレー、治具への貼り付けなど「貼る」「敷く」といった形で組み込むことができます。曲面や狭い隙間にも密着しやすいため、微細なミストや結露の吸水にも適しています。

シートタイプ

〈用途例〉

  • 装置内の結露防止
  • 搬送ライン下部の液だれ対策
  • メンテナンス時の拭き取り材

ブロックタイプ

ブロックタイプは、保水容量が大きいため、水分が溜まりやすい箇所のスポット吸水に使用されます。立体的な形状加工が可能なため、ロボットハンドなどのへの組み込みにも対応できます。
また、絞ることで吸水力が回復しやすく、清掃や点検時の拭き取り材としても扱いやすい形状です。

ブロックタイプ

〈用途例〉

  • 装置内の結露受け、オーバーフロー対策
  • 装置内周辺のスポット吸水
  • 製品保護を兼ねた吸水マット
組み込み時の設計ポイント
吸水スポンジの性能を安定して引き出すためには、圧力・排水・メンテナンス性の3点が重要です。
圧力は過不足なく設定し、絞り出した水分が滞留しない排水経路を確保します。あわせて、交換や清掃がしやすい構造とすることで、装置の安定稼働につながります。

吸水スポンジは、材質や形状、装置への組み込み方法によって、吸水性能や工程の安定性が大きく変わります。工程条件に合った吸水スポンジを選定することで、液切りの安定化や工程品質の向上につながります。
アイオンでは、PVA・PU・POなど特性の異なる吸水スポンジを取り揃え、装置構成や工程条件に応じた吸水・液切りの課題解決を支援しています。吸水スポンジの選定や装置への組み込みでお困りの際は、ぜひご相談ください。

 

シグナスローラー

シグナスローラー

さまざまな業界で長年使用され、卓越した吸水性能、脱水性能を評価されているPVAスポンジローラーです。ワークに押し付けて回転させる簡単な機構で連続的な吸水が出来る上に、水残りも少なく、乾燥時の熱量を低減する事が出来ます。またワークにダメージを与えず、微細な異物を洗浄・除去する事も出来ます。
ベルイーターDシリーズ、Wシリーズ

ベルイーターDシリーズ、Wシリーズ

乾燥時は硬質で、保水時柔軟化し、各種形状への加工が容易です。また複数の品番を有しているので、吸水、洗浄、拭き取り等でさまざまな分野で使用できる、PVAスポンジのシート、ブロック材です。
ピオラス シート

ピオラス シート

強酸、強アルカリ液などの厳しい環境下で吸液、保液、拭き取り、ろ過等に使用できる連続気孔構造のオレフィン系多孔質シートです。
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