産業装置の液切りや吸水工程では、「吸水スポンジ」の材質によって、得られる性能や使い勝手が変わります。同じ吸水スポンジでも、吸水性、耐熱性、耐薬品性、乾燥時の状態は材質ごとに違いがあります。
このコラムでは、産業用途で多く使われているPVA・ポリウレタン(PU)・ポリオレフィン(PO)の3つの材質を中心に、 吸水スポンジの構造、選定の考え方、装置への組み込み方をご紹介します。
- ◎関連記事
- 産業装置における「吸水」とは
吸水スポンジの基本構造とメカニズム
吸水スポンジが安定して水分を吸水できる理由は、スポンジ内部の構造にあります。
![]() |
気孔構造 産業用吸水スポンジは、内部の気孔が連続した「連続微細気孔構造」を持っています。 |
|---|---|
![]() |
毛細管現象による吸水 微細な気孔が毛細管として機能し、水に触れた瞬間から水分を引き込みます。 |
![]() |
吸水と排水を繰り返す連続動作 吸水スポンジは、挟み込みや絞りによって内部の水分を排出すると、吸水性能が回復します。 |
吸水スポンジの材質比較と選定の考え方

吸水スポンジは、使用する液体の種類や温度条件、乾燥状態によって、適した材質が異なります。ここでは、PVA・ポリウレタン(PU)・ポリオレフィン(PO)の3つの材質について、基本的な特長を紹介します。
〈材質比較〉
| 吸水性 | ◎ 非常に高い | ◎ 非常に高い | ○ 良好 |
|---|---|---|---|
| 乾燥時の状態 | 硬化する | 柔軟(ソフトさを維持) | 柔軟(ソフトさを維持) |
| 耐熱性 | 60℃ | 100℃ | 80℃ |
| 耐薬品性 | ○ アルカリ系 | ○ 酸・アルコール系 | ◎ 強酸・強アルカリ |
| 加工性 | ◎ 非常に良い | ○ 良い | ○ 良い |
※耐薬品性は、薬品の種類・濃度・温度条件によって異なります
PVAスポンジ
- 主な用途
- ガラス基板、プリント基板の水洗浄後の吸水工程 など
ポリウレタン(PU)スポンジ

PUスポンジは、乾燥状態でも柔軟性を保ちやすい点が特長です。水で100℃、乾熱で130℃まで対応できるため、乾燥炉直前の水切り工程にも使用しやすくなります。
ラインの停止や再稼働の多い装置でも、硬化や寸法変化が起こりにくく、安定した吸水性能を維持しやすい材質です。
◎商品詳細はこちら|ソフラス
- 主な用途
- 温水洗浄ライン、乾燥前の水切り工程 など
ポリオレフィン(PO)スポンジ
- 主な用途
- メッキ工程、エッチング工程など、薬液工程での吸水 など
形状のバリエーションと装置への組み込み
吸水スポンジは、材質だけでなく「形状」も重要な要素です。装置構成やワーク形状、処理量に合わせて形状を選定することで、吸水性能のばらつきを抑え、安定した吸水工程を構築しやすくなります。
〈形状のバリエーション〉
ローラータイプ
ローラータイプは、連続処理を行う製造ラインで最も多く採用されている形状です。搬送と同時に吸水を行えるため、処理能力と安定性の両立が求められる工程で選ばれます。
装置への組み込みは、搬送コンベアの上下にローラーを配置し、ワークを挟み込む構成が一般的です。スポンジの弾性により、板厚のばらつきや反りにも追従しやすく、吸水量とワークへの負荷のバランスを取りやすい点が特長です。

〈用途例〉
- プリント基板、フィルム、ガラス基板の洗浄後の吸水
- レトルトパウチや包装材の表面水切り
- メッキ、エッチング後の液切り工程
シートタイプ
シートタイプは、薄さと柔軟性を活かし、ローラーの設置が難しい箇所や、広い範囲をカバーしたい工程で使用されます。狭い装置内でも使い方がしやすい点が特長です。
装置内や搬送トレー、治具への貼り付けなど「貼る」「敷く」といった形で組み込むことができます。曲面や狭い隙間にも密着しやすいため、微細なミストや結露の吸水にも適しています。

〈用途例〉
- 装置内の結露防止
- 搬送ライン下部の液だれ対策
- メンテナンス時の拭き取り材
ブロックタイプ
ブロックタイプは、保水容量が大きいため、水分が溜まりやすい箇所のスポット吸水に使用されます。立体的な形状加工が可能なため、ロボットハンドなどのへの組み込みにも対応できます。
また、絞ることで吸水力が回復しやすく、清掃や点検時の拭き取り材としても扱いやすい形状です。

〈用途例〉
- 装置内の結露受け、オーバーフロー対策
- 装置内周辺のスポット吸水
- 製品保護を兼ねた吸水マット
圧力は過不足なく設定し、絞り出した水分が滞留しない排水経路を確保します。あわせて、交換や清掃がしやすい構造とすることで、装置の安定稼働につながります。
吸水スポンジの種類と選定まとめ
吸水スポンジは、材質や形状、装置への組み込み方法によって、吸水性能や工程の安定性が大きく変わります。工程条件に合った吸水スポンジを選定することで、液切りの安定化や工程品質の向上につながります。
アイオンでは、PVA・PU・POなど特性の異なる吸水スポンジを取り揃え、装置構成や工程条件に応じた吸水・液切りの課題解決を支援しています。吸水スポンジの選定や装置への組み込みでお困りの際は、ぜひご相談ください。













