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固液分離の目的とメリット―固液分離機の種類ごとの特長も紹介

固液分離の目的とメリット―固液分離機の種類ごとの特長も紹介

排水や汚泥の処理において、コスト低減や効率向上のために固液分離が行われます。固液分離の方法にはどのような種類があるのでしょうか。固液分離の意味や目的、そこから生まれるメリット、固液分離方法と分離機の種類や特徴についてご紹介します。

固液分離は汚泥の処理には欠かすことができません。汚泥の中にある固体成分と液体成分を分離する工程には、どういった目的があるのでしょうか。固液分離の4つの目的を見てみましょう。

汚泥を脱水して固形化する

汚泥に含まれる固体と液体を分離することは、汚泥を脱水して含水率を下げ、固体の成分濃度を上げることになります。含水率を下げることで流動性は低下し、より固体に近い状態になります。

固形化することで取り扱いは容易になり、目的に合わせた形状に加工しやすくなります。

汚泥を濃縮して減量する

固液分離によって水分を減らすと、減った水分に応じて体積と重量も減ります。もし、汚泥が固形化できない流動性の高いものだったとしても、固液分離によって濃縮して量を減らすことが可能です。

固形化できる汚泥に関しても、脱水の前段階として固液分離の工程が行われることもあります。

原水や排水の処理

原水や排水は、含まれる成分によってはそのままの状態で放流できないものもあります。

これらに含まれる不溶解性物質を除去して放流できるようにしたり、浄化施設での処理を効率化したりといった目的でも固液分離が行われます。

高価な素材の回収

工場の産業廃棄物では、希少金属のような高価な素材が粉体状になって汚水に混ざっている場合もあります。汚水からこういった高価な粉体を分離し、回収する目的でも固液分離が行われます。

では、固液分離はどのようなメリットや効果につながっていくのでしょうか。固液分離によって生まれるメリットとして次のような点が挙げられます。

廃棄・処分コストの低減

産業廃棄物に関して、一般的な費用計算方法として多いのが重さによる処分料の計算です。車両で運搬する場合には、産廃処理場内に入る際と退場する際の車両重量をそれぞれ計測し、その差によって金額が決まります。

このとき汚泥のままの状態であれば、多くの水分が含まれ、その重さのために処分コストは高額になります。固液分離によって可能な限り水分を減らして減量することで、処分コストを低減することができます。

再利用の可能性を向上

固液分離によって固形化することで、脱水ケーキが残ります。脱水ケーキになると流動性が低下するため加工性が向上します。その結果、再利用の目的に合わせた形状に加工できるため原料として使いやすくなります。

肥料や発電原料としての用途の場合も、汚泥のままでは使用できませんが、固液分離して固形化することで可能になります。

また、水分のある廃棄物から、希少金属や高価な材料を分離回収することでリサイクルが可能になります。

浄化設備の効率的かつ安定的な稼働

汚泥の処理は浄化設備に大きな負担をかけますが、固液分離によって分けられた液体を放流した場合は、その負荷をかけずに処理が可能になります。

浄化設備のランニングコストを下げ、メンテナンス回数やトラブル発生率も減らせるため稼働率を高めることができます。

固液分離にはさまざまな方法があり、それぞれに使われる装置や特徴も異なります。代表的な方法と分離機の種類として次のようなものがあります。

真空脱水機

汚泥に対して使われる分離機です。含水率は85%以下にすることが可能です。

汚泥に対し、ろ布やろ材を通して負圧をかけ、水分だけを吸引し脱水します。構成機器が多いので原理はやや複雑ですが、真空脱水機は自動運転が可能なものが多いため、作業者の熟練度に左右されずに操作可能です。また、遠隔操作もできます。

比較的大型の装置ですが、構造の工夫によって小型化を実現した省スペースなものもあります。

遠心濃縮脱水機

汚泥に用いられる分離機で、含水率は85%以下にすることが可能です。

比重の差によって脱水を行うため、汚泥濃度が低い場合でも脱水可能で、汚泥の質の変化にも対応できます。

高速回転で連続処理が可能なので、処理効率は高く自動運転、遠隔操作も可能ですが、大きな動力が必要で振動や騒音が大きく、作業環境には考慮が必要です。

多重円板脱水機

汚泥に使われる分離機で含水率85%以下にすることが可能です。

連続処理が可能で比較的効率がよく、自動運転や遠隔操作が可能で作業者の熟練度も要しません。また、振動や騒音が少なく、設置スペースが小さいという特徴があります。一方で、汚泥の質が変化すると処理能力が不安定になるという面も持ちます。

ベルトプレス

汚水や汚泥に使われます。含水率85%以下への固液分離が可能で、脱水汚泥は比較的扱いやすい部類になります。

連続運転が可能で効率がよく、自動運転も可能です。比較的設置スペースは小さく、大きな動力も要しません。しかし、微細な汚泥に対してはろ布の目詰まりや回収率の低下などが起こりやすくなります。

スクリュープレス

汚水や汚泥に使われる分離機で、汚水の場合は6575%、汚泥では8083%の含水率の脱水ケーキができます。畜舎汚水の固液分離によく使われています。

自動運転、遠隔操作が可能で作業者の熟練は要しません。凝集剤の利用により高い分離性能を発揮できますが、汚水に砂や砂利が混入している場合はスクリューの摩耗が極端に進み、耐久性が低下します。

ローラープレス

汚水に適した分離機で、含水率は脱水機の機種によって大きく変わります。

自動運転、遠隔操作が可能ですが、動力や操作方法も機種によって異なるため確認が必要です。

効率は、処理する汚水の水分によって影響を受けます。90%程度の高濃度汚水の場合は分離効果が低くなります。

ロータリードラムスクリーン

主に汚水に使われ、脱水後の含水率は機種によって異なります。

単純に網によってろ過する方法なため、構造や操作は容易で作業は短時間で終わります。また、汚泥を加圧しないため粉砕されず、汚泥回収率が高くなります。

ベルトスクリーン

汚水に対し使われ、脱水ケーキの含水率は85%以下を目標としていますが、ほかの方法よりは若干高めとなります。

走行するスクリーンによって単純にろ過する方法のため構造は簡易で、短い時間で処理できます。

振動スクリーン

汚水に対し使われ、含水率85%以下を目標としていますが、ほかの方法よりは若干高めとなります。

単純にスクリーンを振動させながらろ過する構造で、操作は容易です。

多重板波動フィルター

汚水や汚泥に対して使われます。最終工程で圧搾するため、含水率80%以下の実現が可能で、ほかの方法より多く水分を減らすことが可能です。

自己洗浄効果が働くためスクリーンの閉塞が起こりにくく、汚泥に流動性があれば異物が混入していても分離可能という特徴を持ちます。

汚泥処理に欠かすことのできない工程、固液分離について目的やメリット、処理の方法などを解説しました。

汚泥や汚水を処理する際、固液分離によってコスト低減や再利用の可能性拡大などのメリットが得られます。そのメリットを最大化するためには、汚泥の性状に合わせた固液分離装置を選定しなければなりません。また、脱水ケーキを処分あるいは再利用する場合のことも考え、どのような脱水ケーキが生成されるのかも考慮して選定するといいでしょう。

汚泥に対して行う固液分離の工程は、製品を作る作業ではないため利益確保に対する生産性を伴いません。そのため、可能な限り手間とコストをかけずに行うことが理想ですが、環境面、効率面ではなくてはならない作業です。

工場での人材採用は簡単ではありません。こうした処理工程にはできる限り人手をかけずに、効率良く高い脱水率を実現できる処理が望まれます。

アイオンの連続真空固液分離装置PCセパレーター」は、分離能力に優れた連続運転が可能な脱水機です。真空脱水機にもかかわらずコンパクトで、設置スペースが少ないのも大きな特徴です。ろ過精度が高いため、希少金属のような高価な粉体も効率よく回収します。

PCセパレーター

PCセパレーター

アイオン独自の円筒型多孔質ろ材を使用した、高性能でコンパクトタイプの連続真空固液分離装置(脱水機)です。
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