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クリーンルームの陽圧とは?陽圧によって清浄度を保つ仕組みを解説

クリーンルームの陽圧とは?陽圧によって清浄度を保つ仕組みを解説

クリーンルームの清浄度を保つ仕組みとして、部屋を陽圧に維持していることが重要です。では陽圧とはどのような状態のことをいい、陽圧であることによってどういった作用が生まれるのでしょうか。本記事では、クリーンルームと陽圧の関係、陽圧を維持するためのポイントなどをご紹介します。

陽圧とは、その部屋の気圧が外の気圧よりも高い状態のことを言います。空間に存在する空気の量が多く、密度が高い状態です。

これに対して、外よりも気圧が低い状態は陰圧または負圧と言います。

陽圧は身近なところにあり、仕事や生活にも存在します。例えば、圧縮空気を作るエアコンプレッサーのタンク内はかなりの陽圧となっており、調理中の圧力鍋の内部も陽圧の状態にあります。また、膨らませたゴム風船の内部も陽圧です。

空気は気圧の高い場所から低い場所へと流れる性質があり、それによって空気の流れ、すなわち風が生まれます。先程の例では、ゴム風船の口を塞いでいる指を離して出口を開放すれば、空気が吹き出します。

このような陽圧の性質はさまざまな場面においても応用されています。そのひとつが、クリーンルームです。

クリーンルームは、空気中に浮遊する微小粒子や微生物などの汚染物質の量が、一定のレベル以上の清浄度に管理された空間のことを言います。

このクリーンルームと陽圧はどのように関わっているのでしょうか。クリーンルームがどのような仕組みで成り立っているのか、陽圧とはどういった目的で使われているのかを見ていきましょう。

クリーンルームの仕組みには陽圧が使われています。陽圧がどのような作用をしているのか、クリーンルームに求められる条件や、クリーンルームを清浄に保つための仕組みを通して説明していきます。

クリーンルームの4原則

まず前提として、クリーンルームを一定の清浄度に保つうえで必要な4原則があります。

  • 持ち込まない(ゴミやその発生源となるものをクリーンルームに持ち込まない)
  • 発生させない(クリーンルーム内でゴミを発生させる行為をしない)
  • 堆積させない(ゴミが堆積しないような工夫をする)
  • 排除する(ゴミとその発生源はクリーンルームから排除する)

ここで言うゴミとは、空気中の微粒子や微小生物といった目に見えない大きさのものも含まれます。

この4原則のうち、「持ち込まない」「堆積しない」「排除する」ための仕組みとして陽圧が利用されています。

一般的なクリーンルームの仕組み

陽圧を維持するクリーンルームの構造は、一般的に次のような仕組みによって循環しながら清浄な空間を作っています。

  1. ルーム内の空気を空調機へと取り込み
  2. プレフィルターにより一時濾過
  3. 陽圧を維持するため外気を取り込み
  4. 室内からの空気と外気を合わせて循環ファンによって送風
  5. HEPAフィルター (High Efficiency Particulate Air Filter)で空気を浄化
  6. 浄化した空気をルーム内に送風・拡散
  7. 室内の空気の一部はエアダンパーから排出

このような空気の取り入れ・濾過・循環・排出を繰り返すことで陽圧を維持しながら清浄度を保っています。

陽圧によってできること

このようにクリーンルームが陽圧であることによって、外から中に空気が流れ込むことがなく「持ち込まない」が可能になります。

また、絶えず空気の流れがあることでゴミや塵、空気中の粒子を動かし、「堆積させない」状態を維持します。

他にも陽圧のクリーンルームからは空気が排出されるため、空気中の粒子も一緒に「排除する」ことが可能です。

このように、クリーンルームは陽圧であるからこそ清浄な状態を維持できると言えます。

クリーンルームの分類

クリーンルームは主に次の2つに分けられます。

  • ICR
  • BCR

ICRはインダストリアルクリーンルームのことで、半導体や精密機械などの製造工場において利用される、空気中の微小粒子管理に重点を置いたクリーンルームです。

BCRはバイオロジカルクーンルームのことで、空気中の微生物の管理を主目的として医療・食品分野で利用されています。

この2種類のクリーンルームには、求められる清浄度の基準に応じてそれぞれクラスが設けられています。

クリーンルームのクラスについて、詳しくはこちらの記事で解説しておりますのでご覧ください。

→「クリーンルームのクラスとは?業種別に求められるクラスの違いも紹介」

また、クリーンルームと似たような存在として陰圧室があります。クリーンルームは外から中に持ち込まないための部屋であるのに対し、陰圧室は中から外に漏れ出ないようにするための部屋です。

陰圧室は感染症の治療、放射性物質を扱うときなど、外に出ないようにする場合に使われます。

クリーンルームは陽圧であることによって空気の清浄を維持する仕組みが作られています。しかし、常に気圧を高く維持しながら空気の循環を行うためには、通常の部屋とは異なる工夫が必要となります。

では、クリーンルームを適度な陽圧に維持しながら作業環境も損なわないようにするためには、どのようなことが重要となるのでしょうか。適切な陽圧を維持するうえでのポイントとして次の4つの点が挙げられます。

気密性

部屋の気密性が高くなければ、室内にある空気が漏れ続けるため陽圧に保てません。定められた箇所からのみ空気が排出され、それ以外の場所からは空気が漏れ出ないように高い気密性が必要となります。

部屋の気密性を高くするためには、気密性維持に対応したドアの使用や、天井や壁、設備配管などあらゆる場所の気密処理が必要です。

空気の供給と排出のバランス

適切な陽圧に維持するためには、空気が供給される量と排出される量とのバランスが重要です。

供給量が少ない場合や排出量が多すぎる場合には、陽圧に保つことができません。

供給・排出が適切なバランスとなっていて、空気を循環できていることが求められます。

複数のクリーンルームを繋ぐ場合は設計が重要

同一の供給ラインや排出ラインを持つクリーンルームが複数ある場合、部屋の容積によって気圧が変わる場合があるため、バランスを考慮しなければなりません。

熱流体解析を用いて設計することで、一定の陽圧に保てる部屋の間取りや供給口・排出口の場所の最適化が可能です。

温度維持にも注意が必要

クリーンルーム内の温度は、通常は空調により一定に維持されます。しかし、流入する空気によって運ばれる熱が空調能力を超える場合には、温度維持が崩れることがあります。

低温での作業が必要なクリーンルームでは、外気温が高い場合にはあらかじめ冷却した空気の供給が必要です。また、温度差が大きいことで空気の流れが大きくなりすぎる場合には、前室を設けることで気圧を調整できます。

クリーンルームの陽圧を適切に保つためには、こういった温度差のことを考慮した設計上の工夫も必要となります。

クリーンルームの清浄度を維持するうえで重要となる、陽圧の意味や役割、陽圧を維持するうえで重要なポイントなどをご紹介しました。

クリーンルームは陽圧に保つことで外部からの異物流入を防ぎ、同時に異物の排除をすることが可能です。しかし、空気中の微粒子は天井や壁に付着し、床に堆積するものもあります。これらは陽圧による空気の動きだけでは排除しきれません。そのため、定期的に適切な方法での清掃が必要となります。

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