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【塗布の基礎】手作業による塗布の問題と塗布工程の自動化ポイント

【塗布の基礎】手作業による塗布の問題と塗布工程の自動化ポイント

製造業では、少子高齢化や働き方改革を背景に、生産ラインの自動化が急速に進んでいます。
ウェハの貼り合わせやフォトレジストの塗布、二次電池の電極コーティングなど、半導体製造における塗布は専用の塗布装置で行われますが、多品種少量生産ラインや自動化の難しい現場では、まだまだ手作業で塗布を行うのが一般的です。
このコラムでは、手作業による塗布の問題と自動化のポイントについてご紹介します。

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製造現場における塗布とは

製造業で自動化が急がれている一番の要因は、「少子高齢化」です。
少子化が急速に進む日本では、生産ラインを担う若手人材の人口減少に歯止めがかからず、深刻な人手不足に陥っています。
経済産業省「2022年版ものづくり白書」によると、2021年度の製造業の就業者は1,045万人で、全体に占める割合も、ここ20年間で19.0%から15.6%へと大きく減少しています。

自動化が急がれている背景

また働き方改革による男性の育休取得や、有給取得の促進もあいまって、これまで人手に頼っていた生産ラインがうまく回らず、大きな課題となっているのです。

手作業による塗布では、「生産性低下」や「品質低下」などの問題が発生するため、製造現場では塗布の自動化が急がれています。

〈手作業による塗布の問題〉

生産性の低下

半導体製造から自動車、電子部品、一般消費財まで、ユーザーニーズの多様化によって製品ライフサイクルが短くなるなか、製造現場では「多品種少量生産」が求められるようになっています。
慢性的な人手不足に陥っている工場では、これら多品種少量の塗布工程に柔軟に対応することができず、生産性低下が問題となっています。

品質の低下

現場を支えるベテランの定年退職が相次いでいますが、手作業による塗布はマニュアル化することが難しく、現場の技術伝承も難しいのが実情です。
手作業による塗布は、塗布量や塗布距離などの調整が難しく、作業者の熟練度によって品質に大きなバラツキが出てしまいます。また塗布は連続作業が多く、集中力低下によって不良品を出してしまうことも少なくありません。

手作業による塗布には危険も?
手作業による塗布には危険も?

塗布に用いる液体には、化学薬品や薬液など、毒物や劇物が含まれることもあります。
人手による塗布は神経を使うため作業ミスが起きやすく、暴露による労災の恐れもあるため、自動化による安全の確保も重要になっています。

塗布工程の自動化の進め方

自社の塗布工程を自動化するためには、生産技術や装置メーカー、ロボット導入を得意とするエンジニアリング企業とも相談しながら、導入を進めていく必要があります。 自動化にあたっては、以下のような項目がポイントとなります。

〈自動化のポイント〉

塗布方法の見直し

塗布方法の見直し

手作業では主にスプレーガンやフェルト・ハケを使った塗布が一般的ですが、自動化するにあたり、スプレーやローラー、ディッピング(浸け込み)など、塗布方法を見直す必要があります。
効率的な塗布方法は、ワークサイズやロット数、要求精度によって異なります。

塗布条件の抽出

塗布工程を自動化するには、これまで手作業で感覚的に行っていた塗布量や膜厚などの条件を数値化し、装置に落とし込む必要があります。
スプレーを使って塗布を自動化する際には「エア圧力」や「塗布距離」、スポンジやローラーを使って塗布を自動化する際には「ライン速度」が重要になります。

塗布装置の選定と開発

まずは従来の塗布装置で自動化できないかを検討し、難しい場合は開発を行う必要があります。
ロット数や設置スペース、塗布の前後工程も考慮しつつ、多品種少量生産の多い現場では「汎用性の高いロボット」、量産ラインでは「自動機」の導入を進めていきましょう。
(関連記事:塗布装置の種類

トレーサビリティの導入も一緒に
塗布工程を自動化する際には、トレーサビリティの導入も一緒に検討しましょう。
近年では品質管理の観点からISO9000シリーズが普及しており、塗布工程にもトレーサビリティが求められています。塗布状態を数値化して保存・追跡できるよう、検査工程もあわせて検討する必要があります。

スポンジやローラーを使った塗布装置の開発では、塗布液を吸液する「スポンジ」の選定が重要です。
自動化ラインでは、定量の塗布液を連続的に効率良く塗布する必要があります。そのため、塗布装置で使われるスポンジには、以下のような機能性が求められます。

塗布装置の開発ポイントはスポンジの選定

〈スポンジに求められる機能性〉

  • 連続稼働に適した吸水性・保水性
  • さまざまな環境に対応する耐薬品性・耐熱性
  • 装置内の組み込みに適したカスタマイズ性

そこで採用されているのが、アイオンの高機能スポンジ「ソフラス」です。

ソフラス

ソフラスは、アイオン独自のポーラスマテリアル技術から生まれた、高吸水性ポリウレタンスポンジです。
微細な連続気孔を持った多孔質体で、高い吸水性・保水性を発揮。耐薬品性・耐熱性にも優れるため、危険な薬品の塗布や、高温環境下での塗布など、作業の自動化が急がれる過酷な環境下での使用に最適です。
またローラー状、シート・ブロック状など、搭載箇所にあわせた形状にカスタマイズでき、塗布装置の狭いスペースにも組み込むことが可能です。

〈ソフラスの特徴〉

優れた吸液性 高い吸水性・保水性を発揮
優れた耐薬品性 アルコール及び弱酸に対し安定
優れた耐熱性 水100℃/乾熱130℃
カスタマイズ性 ローラー状、シート・ブロック状で提供可能

〈ソフラスの耐薬品性〉

薬品名 濃度 判定
硫酸 35%≧
塩酸 15%≧
硝酸 5%≧
燐酸 35%≧
水酸化ナトリウム 1%≧
メタノール
エタノール
メチルエチルケトン ×
トルエン ×
アルカリや溶剤への対応は?
ソフラスで対応できない薬品を扱う場合は、ポリオレフィンを使用した「ピオラス」をご検討ください。ピオラスは、ソフラスと同等の高い機能性を持ちながら、酸や強アルカリ液をはじめ、ピオラスシートではメチルエチルケトン、酢酸エチルなどの各種薬品にも対応可能です。
(ソフラスとは仕様や対応サイズに違いがあります。詳しくはお問い合わせください)
◎商品詳細はこちら
ソフラス
ピオラスローラー
ピオラスシート

このコラムでは、手作業による塗布の問題と自動化のポイントについてご紹介しました。
塗布工程の自動化は、生産性の向上や品質の安定化だけでなく、省人化による余剰人員を別のラインに回すことができるようになり、さらなる効率化につながります。
装置に組み込むスポンジをお探しの方や、自動化ラインにおけるスポンジの選定でお困りの方は、ぜひ一度、アイオンまでご相談ください。

 

ピオラス シート

ピオラス シート

強酸、強アルカリ液などの厳しい環境下で吸液、保液、拭き取り、ろ過等に使用できる連続気孔構造のオレフィン系多孔質シートです。
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