製造現場では、接着剤や溶剤の塗布の用途で、さまざまな工業用フェルトが使われています。
フェルトはスプレーにくらべ塗布の効率は落ちますが、精密部品や電子部品などの生産ラインでの手作業に向いており、多くの現場で使われています。しかし、そこで問題になっているのが、フェルトの糸くずの混入や塗布ムラの発生です。
このコラムでは、フェルトによる塗布の問題とその代替品についてご紹介します。
- ◎関連記事
- 製造現場における塗布とは
工業用フェルトとは
フェルトとは、ウール(羊毛)など動物の毛を圧縮し、シート状にした繊維製品です。
ナイロンやポリエステル、アクリルなどの化学繊維を使ったものもあり、工業用途だけでなく、服飾やインテリア、カーペットなど幅広い分野で活用されています。
〈工業用フェルトの種類〉
|
ポリエステルなどの化学繊維をニードルで刺し固めたフェルト 成形の自由度が高く、工業用途では緩衝材やフィルターなどに使われている |
---|---|
|
ウールなどの天然繊維をプレスで揉み固めたフェルト 吸油性に優れ、工業用途では研磨やバリ取り、塗布などに使われている |
|
織りで仕上げた織物に、さらに圧力をかけて圧縮したフェルト 摩擦に強く、工業用途では研磨や艶出し、産業用資材などに使われている |
また製造現場でよく使われる繊維製品のひとつに、不織布(ふしょくふ)があります。
不織布もフェルトのように織らずに作られた製品で、ポリエステルなどの化学繊維を原材料としています。
不織布は、もとはフェルトの代用品として作られた製品で、フェルトと比べ毛羽立ちが少ないのが特徴ですが、吸水性が高くないため、主に拭き取り用途で使われています。
フェルトによる塗布の問題
製造現場では、さまざまな工程でフェルトによる塗布が行われていますが、フェルト特有の特性による「コンタミ」や「塗布ムラ」などの発生が問題となっています。
〈フェルトによる塗布の問題〉
糸くず(コンタミ)が発生
フェルトは繊維製品のため、糸くずの発生が避けられません。
塗布工程で糸くずが混入してしまうと、歩留まり率の低下や後工程で全数検査が発生してしまい、生産性の低下につながります。また耐久性の高いフェルトであっても、摩耗や消耗によって糸くずが発生してしまうため、コンタミを完全に避けることはできません。
自動車のEV化が進むなか、エンジン部品やトランスミッション、ステアリングだけでなく、バッテリー製造においてもコンタミ検査の重要性が増しています。
塗布ムラが発生
フェルト生地は布生地にくらべ吸水しますが、特別吸液性に優れているわけではありません。そのため精密な塗布用途では、塗布ムラが発生してしまう場合があります。 生産ラインで発生するような微小の塗布ムラは目視で検査することができないため、後工程でチョコ停が発生してから、発覚することも少なくありません。
上記のように、フェルトは繊維製品のため、糸くずの発生が避けられません。また特に吸液性も高くないため、塗布ムラの原因となっています。そこで採用されているのが、アイオンの高機能スポンジ「ソフラス」です。
アイオンからのご提案 ~ソフラス~
ソフラスは、アイオン独自のポーラスマテリアル技術から生まれた、高吸水性ポリウレタンスポンジです。
微細な連続気孔を持った多孔質体で、高い吸液性・保液性を発揮。ドライ状態でも硬くならず、キメ細やかでソフトなため、フェルトの代替品としての利用に最適です。
またフェルトにくらべ、基材(スポンジ)からの脱落物がごく少ないため、コンタミの発生を抑えることができます。
〈ソフラスの特徴〉
優れた吸液性 | 高い吸液性・保液性を発揮 |
---|---|
優れた特性 | 基材からの脱落物が少ない |
優れた柔軟性 | ドライ状態でも柔軟性がある |
優れた耐薬品性 | アルコール及び弱酸に対し安定 |
〈フェルトとの比較〉
|
|
|
材質 | ウール、化学繊維など | ポリウレタン |
コンタミ | 糸くずが混入 | ごく少ない |
吸水性・保水性 | 低い | 高い |
塗布精度 | 塗布ムラが発生 | 均一な塗布ができる |
- ◎商品詳細はこちら
- ソフラス
フェルトの代替品をお探しですか?
このコラムでは、フェルトによる塗布の問題とその代替品についてご紹介しました。
手作業による塗布では、フェルトだけでなく筆やハケ、ウエスといった繊維製品も多く使われています。用途は塗布に限らず、吸水や拭き取りなどさまざですが、同じように糸くずの混入やムラの課題があり、ソフラスのニーズが高まっています。
フェルトの代替品をお探しの方や、繊維製品の糸くずの混入でお困りの方は、ぜひ一度、アイオンまでご相談ください。