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【塗布の基礎】塗布ムラで発生する問題と塗布ムラの課題解決例

【塗布の基礎】塗布ムラで発生する問題と塗布ムラの課題解決例

塗布ムラは塗布不良のひとつ。塗布した溶液やコーティング剤などの液体が、不均一なまま固まってしまった状態を指します。
塗布ムラは、目視で確認できるような大きなものから、検査装置でしか検出できない微細なものまでさまざまですが、塗布の目的である「接着」「機能付与」「表面処理」などの品質に大きな影響が出るため、製造現場ではムラのない均一な塗布が求められます。
このコラムでは、塗布ムラで発生する問題と課題解決例についてご紹介します。

◎関連記事
製造現場における塗布とは

製造現場では、さまざまな工程で塗布が行われていますが、塗布ムラが起こることで、「生産性低下」や「不良品」などの重大な問題が発生します。

〈塗布ムラで発生する問題〉

生産性の低下

塗布ムラが発生すると、ライン停止や歩留まり率の低下で、生産性が大きく低下してしまいます。
例えばプレス成形では、離型剤の塗布ムラによって、材料が金型に付着してしまいライン停止を引き起こす原因となります。またフィルムやシートなどの生産ラインでは、界面活性剤の塗布ムラによって、次工程でチョコ停が起こり余計な検査工程が発生するなど、生産低下につながります。

不良品の発生

塗布ムラが発生すると、製品本来の機能を発揮することができません。
例えばシール剤の塗布では、「塗布量過多」や「塗布量不足」などの塗布ムラが発生することで、防水性能の低下や劣化を招く原因となります。また部品のアッセンブリでは、接着剤の塗布ムラが品質に直結します。電極のコーティングにおいては、塗工面に「厚みムラ」が生じることで、電池性能に大きく影響してしまいます。

塗布ムラで多いのが、スプレーによる塗布ムラ…

塗布装置の技術は年々向上しており、塗布ムラの発生も少なくなっています。
しかしスプレーコータなどの塗布装置や手作業など、スプレーを使った塗布は塗布ムラが発生しやすく、現場の課題となっています。
スプレーによる塗布は広い面積を効率よく塗布することができ、パネルやガラス、シート、フィルムなどの塗布に向いていますが、一方で液体が飛散してしまい均一な塗布ができません。

スプレーによる塗布は、課題がいっぱい?
スプレーによる塗布は、スピットやタレ、ピンホールといった塗布ムラも引き起こします。

スピット

スピット
粒子の大きい溶液が塗面に残り、凸状の塗布ムラとなる
スプレーの吹きはじめと吹き終わりに発生しやすい
タレ

タレ
液体が乾燥するまでの間に流れてしまい、波状の塗布ムラとなる
スプレーの角度や、個体と液体との「濡れ性」が大きく関係する
(関連記事:濡れ性とは
ピンホール

ピンホール
塗布面に気泡などの跡が残り、穴状の塗布ムラとなる
流動性が低い液体で起こりやすく、空気が中に残ってしまい発生する

アイオンによる塗布ムラの課題解決例をご紹介します。

離型剤の塗布ムラで困った…

離型剤の塗布ムラで困った…

樹脂成形では、金型への付着や成形後のブロッキング(製品どうしが密着して剥がしにくい状態)を防ぐため、離型剤を塗布することが一般的です。
特に食品用樹脂トレイの成形では、潤滑性が高く離型しやすいシリコーンが多く使われますが、スプレーによる塗布ムラは、離型剤の飛散によるムダだけでなく、環境汚染や健康被害につながるため、早急な改善が求められていました。

〈スプレーによる塗布の課題〉

  • × 離型剤が飛散してしまい、塗布ムラが発生
  • × 離型剤が飛散してしまい、ムダが発生
  • × 離型剤が飛散してしまい、環境汚染につながる

ソフラスローラーで塗布ムラの課題を解決

ソフラスローラーで塗布ムラの課題を解決

スプレーによる塗布は、スプレーガンのエア圧力や距離、ライン速度、膜厚など、塗布条件の設定が難しく、塗布ムラが発生しやすいことが課題です。
また塗布ムラによって離型剤が機能しないと、材料が金型に付着してしまい洗浄が必要に… 生産ラインの停止にもつながってしまいます。そこで採用されているのが、アイオンの高機能スポンジ「ソフラスローラー」です。

〈解決のポイント〉

  • ○ ローラーを使うことで、均一な塗布ができる
  • ○ 適量を塗布することができ、ムダがでにくい
  • ○ スポンジによる吸液で、環境汚染がでにくい

〈スプレーとの比較〉

スプレー

スプレー
スプレー

ソフラスローラー
方式 噴霧 ローラー
塗布精度 塗布ムラが発生 均一な塗布ができる
塗布量 ムダが発生 適量を塗布できる
環境性 環境汚染が発生 環境汚染がでにくい
ソフラスローラー

ソフラスローラーは、アイオン独自のポーラスマテリアル技術から生まれた、高吸水性ポリウレタンスポンジです。
微細な連続気孔を持った多孔質体で、高い吸水性・保水性を発揮。耐薬品性に優れるため、加工油やアルコール系溶剤、シリコーン樹脂などの各種離型剤の塗布に最適です。

〈ソフラスローラーの特徴〉

優れた吸液性 高い吸水性・保水性を発揮
優れた耐薬品性 アルコール及び弱酸に対し安定
優れた耐熱性 水100℃/乾熱130℃
優れた柔軟性 ドライ状態でも柔軟性がある

またソフラスローラーは、外径を研磨しているため寸法精度が高く、精密な塗布にも最適です。ドライ状態でも⼨法変化が少ないので、乾燥機の前にも設置しやすく、柔軟なライン構築が可能です。

ソフラスローラーで対応できない液体の場合は?
ソフラスローラーで対応できない液体を塗布する場合は、ポリオレフィンを使用した「ピオラスローラー」をご検討ください。ピオラスローラーは、ソフラスと同等の高い機能性を持ちながら、アルカリ液に耐性があり、酸もソフラスと比べ使用できる濃度が広くなっています。
(ソフラスとは仕様や対応サイズに違いがあります。詳しくはお問い合わせください)
◎商品詳細はこちら
ソフラス
ピオラスローラー

このコラムでは、塗布ムラで発生する問題と課題解決例についてご紹介しました。
近年では、医薬品や食品包装、電子部品、液晶ディスプレイなど、さまざまな業界で高機能フィルムの需要が高まるなか、ローラーを使った塗布のニーズも高まっています。
スプレーによる塗布ムラや、塗布工程におけるスポンジの選定でお困りの方は、ぜひ一度、アイオンまでご相談ください。

 

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