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COLUMNコラム

エッチング液の取り扱いには注意が必要―危険性や廃液処理方法など

エッチング液の取り扱いには注意が必要―危険性や廃液処理方法など

ウェットエッチングによって加工を行うとき、エッチング液はなくてはならないものです。しかし、エッチング液は腐食作用を持つという特性上、危険性も伴い取り扱いに注意が必要です。エッチング液の危険性や廃棄方法、取り扱いの注意点についてご紹介します。

プリント基板のウェットエッチングにはエッチング液として、いくつかの種類が使われています。それらは取り扱いに注意が必要なものが多く、きちんと管理をしておかないと作業者の人体や環境への悪影響につながる恐れもあります。この記事では、エッチング液の種類や取扱い上の注意点について紹介します。

腐食の作用を応用した加工技術、エッチングには液体を用いて加工を行うウェットエッチングと、ガスを使って加工を行うドライエッチングがあります。これらはプリント基板や半導体の電路を銅箔によって形成するための技術として使われ、化学打ち抜きとも呼ばれています。このうち、ウェットエッチングは一度に複数枚の被加工材を処理でき生産性が高く、エッチング液も安価なためコストにも優れているという特徴を持ちます。

しかし、ウェットエッチングには注意しなければならない点もあります。エッチングの原理として腐食させることで加工するという技法から、エッチング液には強酸、強アルカリ、強塩基などが用いられています。これらの液体は十分に注意して取り扱わなければなりません。

エッチング液は、加工する材料の材質によって使い分けられます。例えば、現代においてエッチングが多く利用されているのはプリント基板の製造です。この製造工程では、電気の通り道となる銅箔の形成のためにエッチングが行われます。こういった銅のエッチングには、次のような溶液が使われています。

  • FeCL3
    塩化鉄()
  • (NH4)2S2O8
    ペルオキソ二硫酸アンモニウム(過硫酸アンモニウム)
  • CuCL2
    塩化銅()
  • CrO3
    酸化クロム()

→ 記事「エッチング~幅広く使われる酸の腐食性を利用した加工法」

エッチング液として使用される液体は、いずれも何らかの有害性があり取り扱いに注意が必要です。

たとえば、FeCL3は銅だけでなくアルミやクロム、ニッケル、鉄鋼、ステンレス鋼などのエッチングに幅広く使われています。このFeCL3は、皮膚腐食性および皮膚刺激性が安全上の分類において、もっとも危険性・有毒性が高い区分1に分類されています。

また、主に銅のエッチングに使われる(NH4)2S2O8は呼吸器に対する影響があり、可燃物と混合すると容易に発火し激しく燃焼するという特性もあります。

CuCL2はアレルギー性皮膚炎誘発の可能性や水生環境への有害性があります。もしCuCL2が流出した場合、水質悪化や水生生物の大量死が発生し、水生環境が大きく崩れてしまう危険もあります。

このように、エッチング液として用いられる物質には人体や環境への悪影響があるものが大半です。こういった悪影響の防止と安全な作業のため、エッチング液の取り扱いには十分な注意が必要なのです。

プリント基板の製造工程において銅箔のエッチングに使用したエッチング液には、銅イオンが大量に含まれています。そのため、重金属汚染を引き起こす環境汚染物質に指定されていて、下水への流出は厳禁です。

重金属汚染については、銅山からの排水により多くの被害が出た汚染問題が広く知られているように、深刻な影響をもたらします。河川に生息する動植物だけでなく、そこから水を引いた水田での作物にも影響があり、水生環境を破壊する結果につながりかねません。また、エッチング廃液は鉄管や銅パイプを腐食させるため、設備の破損にもつながります。

これらの理由から、使用済みエッチング液は厳密に保管し、然るべき方法によって処理しなければなりません。エッチング液の保存や搬出は、腐食性のない容器で行い、専門の業者に引き取りを依頼し処理してもらうのが一般的です。

しかし、大量に生じるエッチング液の廃棄を業者に依頼するとき、その廃棄コストも無視できません。ウェットエッチングにおけるエッチング液の廃棄コストは、生産性の面で課題となり続けてきました。

こういった課題に対し、近年ではエッチング液のリサイクル装置が開発されています。エッチング液を再生できるとともに溶解した銅の回収が可能なものもあり、高水準での再利用が可能になりつつあります。

これまで紹介した通り、エッチング液は人体や環境への影響があるものが使われています。そのため、エッチング液の取り扱いは次のような点に注意し、作業環境と設備を整えなければなりません。

流出の防止に配慮された装置の使用

万が一、エッチング廃液が流出した場合には周辺水性環境を汚染する危険があります。

エッチング液が流出しないよう配慮して設計されたエッチング装置を使い、確実にエッチング液が装置外にこぼれ出るのを防ぎましょう。また、エッチング液が下水に流出しないよう場内排水の設備を整えることも必要です。

作業環境の整備

エッチング液を使用する際、作業者の安全を守るために作業環境も整備しなければなりません。

エッチング液が作業者の人体へ付着しないよう作業環境を整え、安全な作業手順を設定し教育の機会を設ける必要もあります。

また、エッチング液がミストや蒸気となったものを吸入することで呼吸器に影響があるものもあります。作業室内に充満するのを防止するため、換気設備も整備する必要があります。

可燃物との接触・混合により発火する性質のあるもの、火災を助長する恐れのあるもの、特定の金属と触れることで有毒ガスを発生させるものもあります。これについても、保管方法や使用する機材に注意し、安全な作業環境を整えましょう。

安全作業のための保護具の着用徹底

エッチング液として使用される物質には、それぞれに皮膚腐食性・刺激性、呼吸器感作性などの健康に対する有害性があります。このほか、経口による急性毒性、目に対する重篤な損傷や眼刺激性、中枢神経系障害、全身毒性など、種類によってさまざまな危険性があります。

エッチング液を取り扱う作業時には、ゴーグルやフェイスシールド、マスク、作業手袋など保護具着用を義務付け、現場での着用を徹底しなければなりません。

また、エッチングの作業者だけでなく、エッチング装置の保守管理担当者、エッチング液の管理や補充、廃棄を行う担当者も含め、必要な保護具を整備し着用の徹底に取り組みましょう。

ウェットエッチングに使われるエッチング液について、使用目的や代表的な物質、危険性や廃棄方法、取り扱いの注意点について紹介しました。

プリント基板の製造工程に欠かせないエッチングは現代になくてはならない加工法ですが、エッチング液の持つリスクを忘れてはいけません。エッチング液として使われる物質は、いずれも何らかの有害性をもっているものが多く、取り扱いには十分な注意が必要です。管理者と作業者が協力し、安全で確実な作業ができる環境が整備されているか、今一度見直してみる機会を設けることも、より安全な働く環境構築のために有効なのではないでしょうか。

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